○静岡大学動物実験規則
(平成19年1月17日規則第1号)
改正
平成20年4月1日規則
平成23年6月16日規則第7号
平成25年3月19日規則第84号
平成27年3月18日規則第89号
令和元年7月17日規則第102号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 適用範囲(第3条)
第3章 動物実験委員会(第4条-第9条)
第4章 動物実験等の実施(第10条・第11条)
第5章 施設等(第12条-第17条)
第6章 実験動物の飼養及び保管(第18条-第26条)
第7章 安全管理(第27条-第29条)
第8章 教育訓練(第30条)
第9章 自己点検・評価・検証(第31条)
第10章 情報公開(第32条)
第11章 補則(第33条・第34条)
附則
第1章 総則
(趣旨及び基本原則)
第1条
この規則は、国立大学法人静岡大学(以下「本学」という。)における動物実験等を、科学的観点、動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から適正に行うため、必要な事項を定めるものとする。
2
動物実験等については、この規則に定めるもののほか、「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)」(以下「法」という。)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)」(以下「飼養保管基準」という。)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)」(以下「基本指針」という。)及び「動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号)」を遵守し、かつ、日本学術会議が作成した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(平成18年6月1日)(以下「ガイドライン」という。)」に則して行うものとする。
3
動物実験等の実施に当たっては、動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。)、使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3R(Replacement、Reduction、Refinement)に基づき、適正に実施しなければならない。
(定義)
第2条
この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)
動物実験等 実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2)
飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管する施設・設備又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(3)
実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う動物実験室をいう。
(4)
施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(5)
実験動物 動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養又は保管している哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。
(6)
動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(7)
動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。
(8)
動物実験責任者 動物実験実施者のうち、動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。
(9)
管理者 学長の命を受け、実験動物及び施設等を管理する者(部局長、学内共同教育研究施設の長など。)をいう。
(10)
実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を担当する者をいう。
(11)
飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(12)
管理者等 学長、管理者、実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者をいう。
(13)
指針等 動物実験等に関して行政機関の定める基本指針及びガイドラインをいう。
第2章 適用範囲
(適用範囲)
第3条
この規則は、本学において実施される哺乳類、鳥類、爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用する。
2
動物実験責任者は、動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合、委託先においても、法、飼養保管基準、指針等に基づき、適正に動物実験等が実施されることを確認しなければならない。
第3章 動物実験委員会
(設置)
第4条
学長は、本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管を最終的な責任者として統轄する。
2
学長は、動物実験計画の承認、実施状況及び結果の把握、飼養保管施設及び実験室の承認、教育訓練、自己点検、評価、情報公開、その他動物実験等の適正な実施に関して報告又は助言を行う組織として、本学に動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(審議事項等)
第5条
委員会は、次の事項を審議又は調査し、学長に報告又は助言する。
(1)
動物実験計画の指針等及び本規則への適合性に関すること。
(2)
動物実験計画の実施状況及び結果に関すること。
(3)
施設等及び実験動物の飼養保管状況に関すること。
(4)
動物実験及び実験動物の適正な取扱い並びに関係法令等に関する教育訓練の内容又は体制に関すること。
(5)
自己点検・評価に関すること。
(6)
本規則の改廃に関すること。
(7)
その他動物実験等の適正な実施のため必要な事項
(委員会の構成)
第6条
委員会は、次に掲げる委員で組織する。
(1)
動物実験等に関して優れた識見を有する理学部及び農学部から選出された教員 各1人
(2)
実験動物に関して優れた識見を有する理学部及び農学部から選出された教員 各1人
(3)
その他学識経験を有する者で学長が必要と認めた者 若干人
(委員会委員の任期)
第7条
委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
2
委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長等)
第8条
委員会に委員長を置き、委員の互選により選出する。
2
委員会に副委員長を置き、委員の互選により選出する。
3
委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
4
副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるときは、その職務を代行する。
(委員会の運営)
第9条
委員会は、必要に応じて開催する。
2
委員会は、委員の3分の2以上の出席がなければ、開催することができない。
3
委員会が必要と認めるときは、委員以外の者の出席を求め、意見を聴くことができる。
4
委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
5
委員会の議事のうち、自らが関与する動物実験計画の審査には、当該委員は加わらないものとする。
6
委員は、動物実験計画に関して知り得た情報を第三者に漏洩してはならない。また、その職を退いた場合も同様とする。
7
委員会に関する事務は、学術情報部研究協力課が行う。
8
前7項に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が別に定めることができる。
第4章 動物実験等の実施
(動物実験計画の立案、審査、手続き)
第10条
動物実験責任者は、動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から、次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を年度ごとに立案し、委員会が別に定める「動物実験計画書」を学長に提出するものとする。
(1)
研究の目的、意義及び必要性
(2)
代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること。
(3)
実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。
(4)
苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと。
(5)
苦痛度の高い動物実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミングをいう。以下同じ。)の設定を検討すること。
2
動物実験計画を変更する場合、動物実験責任者は、委員会が別に定める「動物実験計画変更承認申請書」を学長に提出するものとする。
3
学長は、動物実験責任者から「動物実験計画書」又は「動物実験計画変更承認申請書」の提出を受けたときは、委員会に審査を付議し、その結果を踏まえ承認又は非承認を決定し、当該動物実験責任者に通知する。
4
動物実験責任者は、動物実験計画について学長の承認を得た後でなければ、動物実験等を行うことができない。
(実験操作)
第11条
動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たって、以下の事項を遵守するものとする。
(1)
適切に維持管理された施設等において動物実験等を行うこと。
(2)
動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項
ア
適切な麻酔薬、鎮痛剤等の利用
イ
実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
ウ
適切な術後管理
エ
適切な安楽死の選択
(3)
安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、遺伝子組換え動物等を用いる実験)については、関係法令等及び本学における関連規則等に従うこと。なお、本学においては、病源体を扱う動物実験等は行わないものとする。
(4)
物理的、化学的に危険な材料等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること。
(5)
実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。
(6)
侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験等を有する者の指導下で行うこと。
2
動物実験責任者は、動物実験計画を実施した後、又は実験を中止するときは、委員会が別に定める「動物実験(終了・中止)報告書」により、使用動物数、計画からの変更の有無、成果等について学長に報告しなければならない。
第5章 施設等
(飼養保管施設の設置)
第12条
飼養保管施設を設置又は変更する場合、管理者は、委員会が別に定める「飼養保管施設設置承認申請書」を提出し、学長の承認を得るものとする。
2
学長は、申請された飼養保管施設を委員会に調査させ、その助言により、承認又は非承認を決定し、管理者にその結果を通知する。
3
管理者は、学長の承認を得た飼養保管施設でなければ、当該飼養保管施設での飼養若しくは保管又は動物実験等を行うことができない。
(飼養保管施設の要件)
第13条
飼養保管施設は、以下の要件を満たすものでなければならない。
(1)
適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等とすること。
(2)
動物種や飼養保管数等に応じた飼養設備を有すること。
(3)
床や内壁などは清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行うための衛生設備を有すること。
(4)
実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5)
臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(6)
実験動物管理者が置かれていること。
(実験室の設置)
第14条
実験室を設置又は変更する場合、管理者は、委員会が別に定める「動物実験室設置承認申請書」を提出し、学長の承認を得るものとする。
2
学長は、申請された実験室を委員会に調査させ、その助言により、承認又は非承認を決定し、管理者にその結果を通知する。
3
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、学長の承認を得た実験室でなければ、当該実験室での動物実験等(48時間以内の一時的保管を含む。)を行うことができない。
(実験室の要件)
第15条
実験室は、以下の要件を満たすものでなければならない。
(1)
実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2)
排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること。
(3)
常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(施設等の維持管理及び改善)
第16条
管理者は、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めるものとする。
2
管理者は、動物実験の種類、習性等を考慮した飼育又は保管を行うための環境の確保を行うものとする。
(施設等の廃止)
第17条
施設等を廃止する場合、管理者は、委員会が別に定める「施設等(飼養保管施設・動物実験室)廃止届」を学長に届け出なければならない。
2
施設等の廃止、動物実験の終了又は中止に当たっては、管理者は、必要に応じて、動物実験責任者と協力し、飼養保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めるものとする。
第6章 実験動物の飼養及び保管
(標準操作手順の作成と周知)
第18条
管理者及び実験動物管理者は、飼養保管の標準操作手順を定め、動物実験実施者及び飼養者に周知し、遵守させるものとする。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第19条
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めるものとする。
(実験動物の導入)
第20条
管理者は、実験動物の導入に当たり、関連法令や指針等に基づき適正に管理されている機関から導入するものとする。
2
実験動物管理者は、実験動物の導入に当たり、適切な検疫、隔離飼育等を行うものとする。
3
実験動物管理者は、実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための必要な措置を講じるものとする。
(給餌・給水)
第21条
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行うものとする。
(健康管理)
第22条
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行うものとする。
2
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物が実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合、当該実験動物に適切な治療等を行うものとする。
(異種又は複数動物の飼育)
第23条
実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養、保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行うものとする。
(記録の保存及び報告)
第24条
管理者等は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備、保存するものとする。
2
管理者は、年度ごとに飼養保管した実験動物の種類と数等について、学長に報告するものとする。
(譲渡等の際の情報提供)
第25条
管理者等は、実験動物の譲渡に当たり、譲渡先の飼養保管施設の実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供するものとする。
(輸送)
第26条
管理者等は、実験動物の輸送に当たり、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危害防止に努めるものとする。
第7章 安全管理
(危害防止)
第27条
管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定めるものとする。
2
管理者は、人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等の外に逸走した場合には、速やかに関係機関へ連絡するものとする。
3
管理者は、実験動物由来の感染症、実験動物による咬傷、アレルギー等に対して、予防及び発生時の必要な措置を講じるものとする。
4
管理者は、毒へび等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別途定めるものとする。
5
管理者等は、人に危害を加える等の恐れがある実験動物について、名札、脚環、マイクロチップ等の識別装置を、技術的に可能な範囲で講じるように努めるものとする。
6
管理者等は、実験動物の飼養又は保管並びに動物実験等や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接触しないよう、必要な措置を講じるものとする。
(緊急時の対応)
第28条
管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に対して周知を図るものとする。
2
管理者は、緊急事態発生時において、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めるものとする。
(人と動物の共通感染症の対応)
第29条
実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、人と動物の共通感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努めるものとする。
2
管理者、実験動物管理者及び実験実施者は、人と動物の共通感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう、公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めるものとする。
第8章 教育訓練
(教育訓練)
第30条
学長は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に、以下の事項に関する所定の教育訓練を受けさせるものとする。
(1)
関連法令、指針等、本学の定める規則等
(2)
動物実験等の方法に関する基本的事項
(3)
実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(4)
安全確保、安全管理に関する事項
(5)
その他適切な動物実験等の実施に関する事項
2
管理者は、教育訓練に当たっては、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名の記録を保存するものとする。
第9章 自己点検・評価・検証
(自己点検・評価)
第31条
学長は、委員会に、本学の動物実験等について、飼養保管基準及び基本指針への適合性に関し、自己点検・評価を行わせるものとする。
2
委員会は、管理者、実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に、自己点検・評価のための資料を提出させることができるものとする。
3
学長は、自己点検・評価の結果について、学外の者による検証を受けるよう努めるものとする。
第10章 情報公開
(情報公開)
第32条
学長は、本学における動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規則、実験動物の飼養保管状況、自己点検・評価、検証の結果、委員会の構成等の情報)を毎年1回程度公表するものとする。
第11章 補則
(準用)
第33条
第2条第5号に定める実験動物以外の脊椎動物を使用する動物実験等については、飼養保管基準等の趣旨に沿って行うよう努めるものとする。
(補則)
第34条
この規則に定めるもののほか、必要な事項は、学長が別に定める。
附 則
この規則は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成20年4月1日規則)
この規則は、平成20年4月1日から施行する。
附 則(平成23年6月16日規則第7号)
この規則は、平成23年7月1日から施行する。
附 則(平成25年3月19日規則第84号)
この規則は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成27年3月18日規則第89号)抄
1
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則(令和元年7月17日規則第102号)
この規則は、令和元年8月1日から施行する。