○国立大学法人静岡大学の学術研究・産学連携活動に伴う秘密情報の管理に関する規則
(令和2年2月19日規則第11号)
改正
令和6年3月27日規則第48号
(目的)
第1条 この規則は、国立大学法人静岡大学(以下「本学」という。)における学術研究活動と、民間企業等との共同研究等による産学連携活動を推進するため、本学の秘密情報の管理に関し必要な事項を定め、もって、学術研究・産学連携活動に伴う技術情報漏洩のリスクを適切にマネジメントすることにより、学術研究・産学連携活動の円滑な実施と発展に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 教職員等
次のいずれかに該当する者をいう。
ア 国立大学法人静岡大学学則第14条第1項に規定する役員
イ 国立大学法人静岡大学教職員就業規則第2条に規定する教職員
ウ 国立大学法人静岡大学有期雇用教職員就業規則第2条に規定する教職員
エ 国立大学法人静岡大学非常勤雇用教職員就業規則第2条に規定する教職員及び同規則を準用する者
オ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき本学の業務に従事している者
カ 請負契約その他の契約に基づき本学の業務に従事している者
(2) 共同研究員等
静岡大学共同研究取扱規則第3条第2項に定める民間等共同研究員及び静岡大学受託研究員規則に定める受託研究員をいう。
(3) 学生等
本学における学部学生、大学院学生、研究生、科目等履修生、聴講生、特別聴講学生及び短期交流特別学部学生をいう。
(4) 部局
国立大学法人静岡大学学則第4条から第12条までに定める組織をいう。
(5) 企業等
本学の産学連携活動の相手方としての民間企業、国、地方自治体の機関、大学法人等をいう。
(6) 秘密情報
次のいずれにも該当する有体物及び無体物の情報をいう。
ア 秘匿することが可能な情報
イ 学術的及び技術的価値を有する情報
ウ 公然と知られていない情報
(7) 営業秘密
不正競争防止法第2条第6項に定義される秘密として管理されている生産方法、販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
(秘密情報の種別)
第3条 管理対象とする秘密情報の種別は、次のとおりとする。
(1) 本学独自秘密情報
教職員又は学生等が独自の研究活動で創出又は獲得した研究成果のうち、創作者自らが秘密情報の指定をし、かつ、秘密として管理するもの並びに創作者自ら秘密情報の指定をし、静岡大学職務発明取扱規則、静岡大学職務著作物取扱規則及び静岡大学研究成果有体物取扱細則の定めに従い、本学に当該研究成果にかかる知的財産権を譲渡したものをいう。
(2) 持込秘密情報
学外より転入した教職員等又は学生等が所有者の了解を得た上で本学に持ち込んだ秘密情報をいう。
(3) 共有秘密情報
企業等より提供される秘密情報及び企業等と共有する研究成果のうち、本学及び企業等が秘密情報とすることに合意するものをいう。
(秘密情報の管理区分)
第4条 管理対象とする秘密情報の管理区分は、次のとおりとする。
(1) 機密
共有秘密情報のうち、企業等が営業秘密として、厳重な秘密管理を要請し、本学が同意するもの。なお、本学独自秘密情報及び持込秘密情報に該当する秘密情報は、「機密」には指定しないものとする。
(2) 厳秘
ア 本学独自秘密情報のうち、本学に知的財産権を譲渡したものであって、企業等への技術移転若しくはライセンスが可能なもの又は共同研究若しくは受託研究に使用可能なものを含む技術上の情報として特に有用なものであり、本学において厳重に秘密管理しているもの又は産学連携活動に特に有用であって、厳重に秘匿すべきとイノベーション社会連携推進機構長(以下、「機構長」という。)が指定するもの。
イ 共有秘密情報のうち、企業等から厳格な秘密管理を要請され、本学が同意するものであって「機密」以外のもの。
ウ 持込秘密情報のうち、所有者から特に厳格な秘密保持義務を要請され、持ち込み当事者と所有者との間で別途秘密保持契約を締結しているもの。
(3) 
ア 本学独自秘密情報のうち、厳秘に該当しないもの。
イ 共有秘密情報のうち、機密及び厳秘に該当しないもの。
ウ 持込秘密情報のうち、厳秘に該当しないもの。
(秘密情報の取扱い)
第5条 この規則に定めるものの他、前条に基づき区分された秘密情報の保管、アクセス、複製、閲覧、配付、廃棄、その他取扱いは、別に定める。
2 前項の規定にかかわらず、共有秘密情報について、企業等との共同研究契約等により、共有秘密情報の取扱いに係る規定が存在する場合には、当該規定を優先するものとする。
(秘密情報の管理体制)
第6条 学長は、秘密情報管理最高責任者(以下「最高責任者」という。)として、秘密情報の管理体制を総括する。
2 機構長は、秘密情報管理統括責任者(以下「統括責任者」という。)として、最高責任者を補佐し、秘密情報の管理に関する事務を統括する。
3 次項に規定する秘密情報管理者(以下「管理者」という。)の所属する部局の長は秘密情報管理責任者(以下「管理責任者」という。)として、当該部局における秘密情報管理の責を負う。
4 研究室、学内研究グループ及び産学連携活動に係る部署(以下「研究室等」という。)に管理者をそれぞれ置き、研究室等の責任者をもって充てる。
5 管理責任者は、当該学部等において秘密情報管理に疑義が生じた場合、速やかに最高責任者に報告しなければならない。
6 最高責任者は、前項の報告を受けたとき、又は自らの判断により、統括責任者に秘密情報管理に関する調査を命じ、事案の解決を図るものとする。
7 前項に拘わらず、最高責任者は、特に必要があると認めたときは、危機管理規則第11条第1項に基づき、統括責任者を特定事案対策本部長に任じ、事案の解決を図るものとする。
(管理者の責務)
第7条 管理者は、研究室等における秘密情報を適切に管理しなければならない。
2 管理者は、次に定める場合において、第4条の管理区分の決定を行わなければならない。
(1) 当該研究室等において本学独自秘密情報を取得した場合
(2) 当該研究室等に持込秘密情報を受け入れた場合
(3) 当該研究室等において共有秘密情報を取得した場合
(4) 前各号に掲げるもののほか、最高責任者、統括責任者、管理責任者、管理者が秘密情報とする必要があると認めた場合
3 管理者は、秘密情報を取得したときは、最高責任者が定める秘密情報管理簿により秘密情報の種別、管理区分、所有者情報及び秘密情報にアクセスすることができる教職員等、共同研究員等、及び学生等(以下「アクセス権者」という。)の情報を登録すると共に、管理の実態に応じ秘密情報の授受年月日、秘密保持期間及び使用目的、廃棄、返却又は解除年月日等を記載しなければならない。
4 管理者は、学生等が秘密情報にアクセスする際に、事前に適切な指導をしなければならない。
5 管理者は、秘密情報について、日時の経過等により秘密性が低くなった、又は秘密性がなくなった場合においては、その都度、当該管理区分の変更又は指定の解除を行わなければならない。
6 管理者は、秘密情報の管理事項に変更が生じたときは、その都度秘密情報管理簿の記載に反映させなければならない。
7 管理者は、統括責任者からの要請があったときはイノベーション社会連携推進機構(以下「機構」という。)に秘密情報管理簿を提出し、秘密情報の管理状況を報告しなければならない。
8 管理者は、秘密情報の管理に問題が発生したときは、速やかに秘密情報の漏えい対策を実施すると共に、管理責任者に報告し、その指示に従わなければならない。
(共同研究等における秘密情報管理)
第8条 共同研究又は受託研究、その他産学連携業務(以下、「共同研究等」という。)を開始する前段階として、共同研究等の内容について検討するにあたり、大学と企業等が保有する秘密情報を相互に開示又は提供する場合は、秘密保持契約を締結しなければならない。
2 前項の秘密保持契約は、機構の支援の下、共同研究等の研究者の管理責任者が締結するものとする。
3 共同研究等を実施する場合、統括責任者は、共同研究等を申し込む者(以下「申込者」という。)に対して、自ら保有する秘密情報の提供の有無及び秘密情報の管理区分について所定の様式により申告させなければならない。
4 企業等は、前各項における秘密情報が営業秘密に当たる場合は、その管理に係る費用を負担しなければならない。
5 管理者は、自ら管理する研究室等の教職員等(管理者を含む。)が、共同研究等に参画する場合において、本学独自秘密情報のうち厳秘を相手方に開示又は提供する場合は、あらかじめ、統括責任者に申告し、許可を得なければならない。
(秘密情報管理委員会)
第9条 本学に、秘密情報の管理に関する重要事項を審議するため、秘密情報管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事項について審議する。
(1) 秘密情報の管理に係る規則等の制定及び改廃に関する事項
(2) 秘密情報の管理に係る運用及び手続等に関する事項
(3) 秘密情報の管理に係る教育・研修等に関する事項
(4) 秘密情報の管理に係る監査に関する事項
(5) 統括責任者から諮問された事項に係る調査等に関する事項
(6) その他研究・産学連携活動における秘密情報の管理に関する重要事項
3 委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 統括責任者
(2) 機構の教員のうち機構長の指名する者1名
(3) 最高責任者の指名する教員若干名
(4) 学術情報部長
(5) その他統括責任者が必要と認めた者
4 委員会に委員長を置き、統括責任者をもって充てる。
5 委員長は、委員会を主宰する。
6 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が指名した委員が、その職務を代行する。
7 委員長は、第2項に掲げる事項に係る決定について責を負う。
8 委員会が必要と認めたときは、委員以外の者を委員会に出席させることができる。
9 前各項に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、委員会が別に定める。
(秘密保持)
第10条 教職員等は、この規則に定めるところにより知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 管理者は、共同研究員等を受け入れる場合、当該共同研究員等に対して、共同研究等を開始する前に、研究成果の取扱い及び秘密情報の取扱いを記載した最高責任者が定める誓約書に署名させ、写しを機構に提出しなければならない。
3 本学は、人材派遣会社、委託業者、請負業者等の第三者に対し、秘密情報の開示をする必要があるときには、当該第三者との契約において秘密保持義務を課すものとする。
(学生等の秘密情報の取扱)
第11条 教職員等は、大学が学生等の教育研究の場であることを認識し、学生等に対しては、機密を扱わせないものとする。
2 教職員等が、教育研究上必要と判断し、学生等を共同研究等に参画させる場合には、管理者は、学生等に対し、秘密保持並びに研究成果及び秘密情報の取扱いについて記載された最高責任者が定める同意書に署名をさせ、写しを機構に提出することとする。
3 管理者は、学生等に前項の署名をさせる場合において、事前に共同研究等に参画することによる利益及び不利益について十分な説明を行った上で、当該学生等の参画への自発的な意思を確認しなければならない。
4 管理者は、学生等が自ら創出した秘密情報を含む研究成果の発表を行うことを妨げてはならない。学生等の当該研究成果発表にあたっては、管理者は、聴講者に対し秘密保持の誓約の署名をさせる等、秘密保持のための方策を十分施すものとする。
5 管理者は、卒業、退学、除籍等により学生としての身分を失う学生等に対して、秘密情報の保護の法的仕組み、実際の運用等及び共同研究等に従事した際に負っている秘密保持義務の内容を確認させなければならない。
(不利益となる取扱いの禁止)
第12条 本学は、共同研究又は受託研究への参画を拒否した学生等に対して、成績評価、就職試験の推薦、進学及び研究指導等において不利益となる取扱いを行ってはならない。
2 前条第2項に規定する同意書は、教育研究を受ける学生の基本的な立場を尊重し、学会発表や就職活動に不利益がないよう、学生等が許容できる範囲の秘密保持を内容とするものとする。
(退職者等の責務)
第13条 退職し、又は解雇された教職員等は、在職中に知り得た秘密情報を、統括責任者の事前の許可なく開示又は使用してはならない。
2 教職員等は、退職又は解雇により本学の職員としての身分を失う場合であっても、統括責任者の事前の許可なく秘密情報を記録した媒体の持出し又は秘密情報を電子化した情報の転送を行ってはならない。
3 教職員等は、退職又は解雇により本学の職員としての身分を失う場合であっても、当該教職員等と秘密情報を共有する企業等から要望があったときは、秘密保持の誓約書を提出しなければならない。
(教育)
第14条 統括責任者は、秘密情報の管理に係る教育(啓発を含む。)を重視し、実行しなければならない。
2 教職員等は、本学が主催又は共催する秘密情報の管理に係る説明会等へ積極的に参加し、自らが所属する研究室等の構成員たる教職員等、学生等及び共同研究員等に対する啓発に努めなければならない。
3 管理者は、アクセス権者に対し、秘密情報の管理に係る教育(啓発を含む。)に努めなければならない。
(監査)
第15条 統括責任者は、本学における秘密情報管理が、この規則及びこの規則に基づく定めに基づき適正に実施されていることを確認するため、秘密情報管理業務の監査を定期的に行うものとする。
(この規則に違反した場合の措置)
第16条 教職員等、共同研究員等及び学生等に、この規則に違反する行為を行ったおそれがあると認められるときは、学長は、直ちに調査を開始し、調査の結果、当該教職員等及び学生等がこの規則に違反する行為があったと認められる場合においては、必要な措置を厳正に行うものとする。
(損害賠償)
第17条 本学は、故意又は重大な過失により秘密情報の漏洩等が生じ、本学又は第三者に損害を与えた者に対し、前条に規定する措置を行うほか、当該損害の全部又は一部を原則として賠償させる。
(事務)
第18条 秘密情報の管理に係る事務は、関係部局の協力を得て、学術情報部産学連携支援課において処理する。
(雑則)
第19条 この規則に定めるもののほか、秘密情報の管理に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規則は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月27日規則第48号)
この規則は、令和6年4月1日から施行する。